後の文書 
 前の文書
本文へスキップ

日本耳鼻咽喉科学会茨城県地方部会は、茨城県の耳鼻咽喉科・頭頚部領域を専門とする医師が参加する会です。


鼻の日
the Day of Nose


1995年(平成7年)

「『鼻の日』にちなんで」ー代表的な鼻の病気ー

筑波大学臨床医学系耳鼻咽喉科教授 草刈 潤


 日本耳鼻咽喉科学会では1961年に8月7日を鼻の日と制定し、以来鼻疾患に関する啓蒙を毎年努めております。鼻疾患には多くの種類がありますが、主なものとしてまず鼻炎があります。カゼなどによく併発する急性鼻炎と慢性の経過をとる慢性鼻炎があり、症状としては鼻閉(鼻づまり)、鼻漏(鼻汁が多い)、後鼻漏(鼻汁がのどへ流れ込む)、嗅覚障害、時にいびきなどが生じます。慢性鼻炎では場合によっては長期にわたる治療が必要なことがあり、副鼻腔(こう)に炎症が及ぶと副鼻腔炎(いわゆる蓄膿(のう)症)となります。慢性副鼻腔炎の場合、以前は手術が主な治療法でしたが、最近では薬物療法が進歩し、手術しなければならない場合はかなり減少しています。鼻ポリープ(いわゆる鼻茸)があって鼻閉などの原因になっていたり、副鼻腔の治癒を妨げているときは手術により切除することが必要です。鼻アレルギーもよくある疾患です。鼻腔粘膜に生じたアレルギー反応によるもので、くしゃみ発作、水様鼻漏、鼻閉などが生じます。通年性と季節性に大別され、前者ではハウスダストが主な原因ですが、後者ではスギ、カモガヤ、ブタクサなどの花粉が代表的です。その他に食物などが原因になっていることがあります。数は少ないのですが、もっとも注意を要するのが腫瘍(しゅよう)で強い鼻閉、悪臭のある鼻汁、血清鼻汁、顔面痛や腫脹などが生じます。鼻は嗅覚に関連すると共に呼吸作用において重要な役割を有しており、快適な生活を送るためにはその機能を正常に保つことが必要です。以上のような症状が出現したらぜひ早めに近くの耳鼻咽喉科医院で相談することをお勧めします。

平成7年 常陽新聞

ナビゲーシ