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日本耳鼻咽喉科学会茨城県地方部会は、茨城県の耳鼻咽喉科・頭頚部領域を専門とする医師が参加する会です。


鼻の日
the Day of Nose


2001年(平成13年)

「『鼻の日』にちなんで」−アレルギー性鼻炎と薬物療法−

文責:筑波大学臨床医学系耳鼻咽喉科講師 大久保英樹


 今や一部の方からは国民病とまで言われているスギ花粉症。昨年春の花粉大飛散の時を思い出し,今年の春,恐怖感を覚えた方は少なくないのではないでしょうか?しかし実際には予想よりも花粉の飛散がやや少なく,症状が軽かったことに胸をなでおろしている患者さんも多いことと思います。
 
 春の花粉症の原因として,よく知られた「スギ」。そしてその他に「ヒノキ」も挙げられることをご存知でしょうか?一般的に「スギ」花粉は3月10日ごろに飛散のピークがあり,「ヒノキ」は4月10日ごろにそのピークがあります。飛散量としては「スギ」のほうが多いのですが,この2種類の花粉の飛散が重なる3月下旬から4月初旬にかけてが,残念ながら両方の花粉に過敏な花粉症の人にとっての最もいやな,うっとうしい季節になってしまいます。

 かかりつけの耳鼻科を決めている方の中には,花粉飛散時期よりも約1ヶ月前から抗アレルギー薬を飲むように薦められていることもあると思いますが,この方法も花粉症の季節を乗りきるのにある程度効果があるようです。また花粉症に対する薬は数多くありますが,同じ薬でもある患者さんにはよく効くのに別の患者さんにはまったく効かないこともしばしば経験します。

 花粉症を根本から治す方法が現在の医療ではかなり難しい現状では,かかりつけの耳鼻科医を決め,薬の名前や効果の程をご自身で確認し,数多くある抗アレルギー薬の中から,自分の体に適したものを医師と相談しながら探すことがアレルギー性鼻炎とうまく付き合っていく方法と思われます。

 しかしそうは言っても,医院に行く時間がない,あるいは症状の出る時期までほうっておいてしまったから,市販の点鼻薬を使ってしのいでいたという患者さんもいることでしょう。確かにそれらの薬の中には即効性の血管収縮薬が入っていてすぐに鼻づまりはよくなります。しかし長く使いすぎると逆に鼻づまりをひどくしてしまうこともありますので注意が必要です。

 また花粉症の季節真っ最中では,内服薬のみでは症状がおさまらないこともしばしばで,そのときには,患者さんと相談の上,眠くなるけれども早くまた短時間だけ効く飲み薬,あるいはステロイド点鼻薬,あるいは長く使うべきではないことを説明して血管収縮点鼻薬を処方することがあります。

 いずれにしても,アレルギー性鼻炎に対する内服薬,点鼻薬は様々な種類,そしてその特徴がありますので,かかりつけの耳鼻科医と相談しながら,そのときの症状や体調にあわせて使うべきものを選択したいものです。

平成13年 書き下ろし

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