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日本耳鼻咽喉科学会茨城県地方部会は、茨城県の耳鼻咽喉科・頭頚部領域を専門とする医師が参加する会です。


鼻の日
the Day of Nose


2005年(平成17年)

「『鼻の日』に寄せて」 −鼻副鼻腔悪性腫瘍について−

文責:筑波大学臨床医学系耳鼻咽喉科講師 田渕経司


梅雨も明け、暑い日々が続いております。お盆の帰省、夏休みの旅行の準備など忙しい時期ではありますが、皆さん体調管理は大丈夫でしょうか。
 今まで,鼻の日の話として様々な病気を挙げてきました。今回は,昨年も取り上げた内容ではありますが、大切な話でもあり、鼻副鼻腔領域の癌について、再度お話したいと思います。

鼻及び副鼻腔に発生する癌の多くは上顎洞という部位に原発します。上顎洞は大体鼻の脇から頬のあたりにかけて顔面の骨の中に存在する空洞です。この、空洞の中に癌が発生することがあるのです。上顎洞以外では鼻腔、篩骨洞も比較的頻度が多い部位です。癌の種類としては特に上顎癌では扁平上皮癌という癌が多いとされています。鼻副鼻腔癌の好発年齢はやはり40歳以上の癌年齢ですが、様々な年齢での発生が知られていますので注意が必要かと思います。

当院の耳鼻咽喉科外来に来られる鼻副鼻腔疾患の方を診ておりますと、鼻副鼻腔癌を大変心配されて受診されている方から、鼻副鼻腔に癌が発生する可能性のあることを当院の外来で初めて知ったとおっしゃる方まで、本疾患の認知に関しましては様々なようです。鼻副鼻腔癌は早期発見が比較的難しいため、病院を初めて受診した時点で既に進行癌である方が多いことが知られています。昨年も述べましたが、初期には症状を呈しにくい癌ではありますが、右か左か片側だけに鼻づまりを呈する方、鼻水に血を混じる方は注意が必要です。癌が進行してくると顔面の膨隆、眼球突出、視力障害、口蓋腫脹等も呈してくることもあります。片側のみで治療に反応しない慢性副鼻腔炎も耳鼻咽喉科医の診察が必要と思います。

以上、いろいろ述べてまいりましたが、やはり少しでも「おかしい」と気付いた点があれば、気兼ねせず、耳鼻咽喉科専門医の診察を受けるようにして下さい。

平成17年 書き下ろし

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