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日本耳鼻咽喉科学会茨城県地方部会は、茨城県の耳鼻咽喉科・頭頚部領域を専門とする医師が参加する会です。


鼻の日
the Day of Nose


2015年(平成27年)

「『鼻の日』に寄せて」―鼻閉に対する外鼻形成術―

文責:筑波大学医学医療系耳鼻咽喉科講師 田中秀峰

 鼻汁・鼻閉・くしゃみなどの症状は、耳鼻いんこう科へ行かれる患者様のうち、鼻のことでお困りの方では一般的な症状かと思います。今回は「鼻閉」に注目してお話しします。鼻閉の原因は、副鼻腔炎や鼻茸(鼻ポリープ)、鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎など他にも様々な病気が考えられます。特に鼻汁が無いのに、鼻閉だけを感じる方は比較的多いのではないでしょうか。耳鼻いんこう科で診察を受けると、副鼻腔炎が無いかなどの画像検査や鼻内をファイバースコープでよく観察します。その時しばしば、鼻中隔が曲がっていることを指摘されます。鼻中隔の弯曲は、ほとんどの人で程度の差はあるものの認められます。その弯曲が鼻閉症状につながっていると考えられた場合は、矯正手術で治します。
 
 鼻中隔弯曲症の手術は、多くの総合病院をはじめ耳鼻咽喉科では頻繁に行われる手術で、鼻の手術を行っている耳鼻咽喉科医にとっても基本手技の一つと考えられております。しかし、中には基本的な鼻中隔弯曲症に対する手術方法では改善しない方がおられます。どのような方かといいますと、鼻中隔の前弯(最も前方に弯曲がある)場合や、外傷による鼻骨骨折後の強い外鼻の変形がある場合です。このような外鼻変形を伴う鼻中隔弯曲症の方に、従来通りの手術を行っても、まず鼻閉症状は改善されません。鼻中隔の矯正には外鼻を含めて矯正する必要があり、外鼻形成術といいます。外鼻は軟骨でできており、耳鼻咽喉科医でも特に外鼻に対して専門的な知識と技術を取得したうえでないと、術後の鼻の変形や鼻閉症状が改善されないことにつながります。茨城県内では筑波大学附属病院をはじめ筑波学園病院で、現在鼻閉に対する外鼻形成術を行っております。

 外鼻の手術といいますと、美容外科を想像される方もおられると思います。例えば鼻を高くしてもらいたいとか、鼻の形を変えたいなど。これらはやはり美容の世界であって、われわれ耳鼻咽喉科医としては、あくまで鼻閉症状を改善する目的で外鼻形成術を行っておりますので、美容目的の場合は、やはり美容外科医にお任せしたいと思います。
 
 手術の適応については、専門の耳鼻いんこう科での診察が大変重要になります。是非、鼻閉症状があり、外鼻変形が原因となっていないかは、お近くの耳鼻いんこう科にご相談ください。

平成27年 書き下ろし



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