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日本耳鼻咽喉科学会茨城県地方部会は、茨城県の耳鼻咽喉科・頭頚部領域を専門とする医師が参加する会です。


鼻の日
the Day of Nose


2019年(令和1年)

「『鼻の日』に寄せて」―子供のアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法

文責:田中秀峰 (筑波大学医学医療系 講師 耳鼻咽喉科・頭頸部外科) 

 アレルギー性鼻炎は、今や国民病ともいえるほど有病率が高く、3人に一人は患っているほどです。最近では、その発症年齢の低下が問題視されています。以前は、幼児では少ない疾患でしたが、最近の外来診療を見ると1,2歳から発症していたり、4,5歳ではしばしばみられたりする疾患になりました。小児では、その先のアレルギー性鼻炎の罹患期間が長くなることから、抗ヒスタミン剤やステロイド点鼻薬などでの対症療法より、根本的な治療を望む声がよく聞かれます。
 2014年から登場したスギに対する舌下免疫療法は、スギアレルギー性鼻炎を根本的に治すことを目指せる治療法です。当初は、12歳以上という縛りがあり、主に中学生以上または成人の方が対象でした。この治療法は、当ホームページ内の2017年の鼻の日にもトピックになっていますが、一日一回の投薬を3,4年間継続する必要があります。長期間にわたる根気強い治療が必要ですが、他の治療法と違い根本治療を目指せる方法です。
 もっと低年齢児からの開始が望まれていました。そして、2018年6月から12歳以下の小児(原則 5歳以上)でも投与可能となりました。しかも現在では、「スギ」だけでなく「ダニ」に対するアレルギー性鼻炎にも薬があり、治療可能な状況です。これにより、小学生からの開始が可能となり、親子ともども協力して小学校から始まる規則正しい生活リズムの中で、毎日一日一回の投与を忘れずに継続していきます。また、小学生の間は、多くの自治体で「丸福」などの手厚い医療補助制度があります。この治療も補助対象であり、長い治療期間でもあるので、ぜひこの時期からの開始をお勧めいたします。
 治療開始には、検査及び診察を行いスギまたはダニのアレルギー性鼻炎があることを確認する必要があります。そのほか、開始のタイミングや服用方法などいくつか注意点がありますので、一度、近医耳鼻咽喉科へご相談下さい。

2019年 書き下ろし



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